「藍」が最高の状態で
生き続けるために
「藍は生き物」です。発酵することで染まり、空気中の酸素に触れて発色。そして作品が完成してからも、10年、20年と時間をかけて色味は深く、鮮やかに変化を遂げます。
人の手によって、丁寧に、しっかりと育んでいく藍染は、その年の藍の出来や染める日によっても違いが出るほど、同じものは二つとありません。それらに息を吹き込むように、職人は全ての工程において研ぎ澄まされた感覚で向き合い、本物を生み出すための誇りに満ち溢れています。
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前処理
仕上がりや染まり具合を左右する、最初が肝心の作業。不純物をしっかりと洗い流し、3時間以上流水にさらしてから藍甕に浸していきます。
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手洗い
確認しながら何時間も流水にかけるこの作業は、藍の色目に影響を与えるため、染め師にとっても決して気が抜けません。水中の酸素によって色の強度が違ってくるのも特徴です。
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後処理
藍の色を最高の状態にするために余分な藍を落とし、色落ちや色移りの少ない藍染を作っていきます。生地の特性を見極めながら行う、大切な作業です。
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手染め
一点一点、染め上げていきます。加減ひとつで仕上がりに差が出るため、長年の熟練された経験が物を言う、大切な作業です。藍が生地へ十分に入り込むように、しっかりと絞り上げるのがポイント。こうして色の強度を上げていきます。
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中干し
数日かけて染め上げることで、色を落ち着かせていくことができます。藍が糸に深く浸透することで、より丈夫に。急がずにじっくり染めるこの手間に、職人のこだわりが活きてきます。
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仕上がり
生地に染まりついた後も時間と共に風合いに変化が生じるところが「藍は生き物」と言われる所以です。それが藍染の魅力でもあり、長きにわたって使う人のそばで暮らしに彩を添えていきます。